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中国人民元の切上について

   ・中国は現在国際社会から元の値上げをしろとの圧力を受けています。

    その背景は、

    1.外貨準備高の高さ(2800億ドル、世界二位)

    2.対外貿易黒字(対外貿易総額6000億ドル、黒字は300億ドル以上)

    3.国際的な環境

     a. 米国のドル安政策

     b. ヨーロ高によるヨーロッパの経済不振

     c. 世界的な中国元値上げ圧力(塩川財務大臣の円適正価格150円/ドル発言など)

    (2002年末まで、日本、米国、IMF、タイなど東南アジア諸国も正式に中国元の値上げを要求)。

    ただし、中国の政府および経済界は元の値上げに対して断固反対の姿勢を表明しています。

    表の理由は当然対外貿易の維持と拡大(経済界が中心)。

    裏の理由は中国の成長は外国投資によって維持しているので、

    中国政府の運命がかかっています。

    現在の中国政府は共産主義などすべてのイデオロギー絶対主義から

    経済発展優先主義になっているので、経済発展を阻む、または阻害すると

    判断される人民元の値上げは、容認しにくいということです。

    そのため、2002年末に中国の中央銀行に当たる中国人民銀行の行長は交代、

    新任者は対外国金融の専門家とされる周小川氏が就任しました。

    周氏は清華大学の経済博士号を持ち、対外貿易部勤務後、国家外貨管理局局

    長、中国建設銀行行長、中国証券監督管理委員会主席などを歴任、外貨、金融

    などに精通しているとされています。

    着任早々人民元値上げをしないと発言したことなどからも、

    今回の人事は中国政府が人民元の値上げ阻止のためだと思われます。

    中国政府は人民元値上げを阻止する唯一の武器は政府の為替レートコントロール

    ですから、人民元と国際通貨との自由な為替相場は、阻害的状況に置くというのは、

    当分の間、絶対条件です。また、値上げしない限り人民元は国際通貨になれない

    ということも言えると思います。

    ただし、WTOに加盟した以上、人民元の国際化も中国政府の大きな目標であるだけに

    中国が抱えている矛盾が小さくないといえるでしょう。

    また、人民元の値上げはドルベースのGDP上昇にもつながりますので、

    中国の国力増強、国民の生活レベル向上、そして政府の宣伝上にも

    都合がいいので、かならずしも人民元上昇が、すべて事象で、中国に不利とは言い切れません。

    中国政府をはじめ、中国の経済界が心配しているのは、

    中国の産業構造は、人民元の値上げによる、競争力低下に耐えるか

    どうかという点です。

    総括すると、個人的な考えでは、人民元の値上げはやがて避けられないと判断しています。

    現在の値上げ阻止は国内産業構造改革するための時間稼ぎだと言えるでしょう。

    値上げする時期に関してはまだわかりませんが、中国政府内でも固まっていない

    と思います。

    (推測の理由:中国人民銀行は「人民元の自由両替のスケジュールがない」との発言)

    要するに「頑張れるだけ頑張って、駄目だったらしょうがない」という

    中国的な考え方かもしれないです。

    ですから、頑張れなかったら明日でも値上げするかもしれません。

    個人的な考えでは、中国政府のシンクタンクは2010年まで成長率7%としていることから、

    2010年ごろはひとつの目安かもしれません。

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