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北京友誼商店の思い出

   ・7/1、中国は北京の友誼商店という国営デパート前で、リストラ策に反対する同従業員らが

    抗議の座り込みをしているというニュースがありました。

    このニュースの内容は、現在の中国国営企業にはたまにある風景ですが、

    私にとって友誼商店は、忘れられない存在です。

    北京友誼商店は、北京の三号環状線(三環)と長安街通り(長安街)が交差する点のそば

    建国門外街路(王府井から近い)という一等地にあり、東京でいえば、

    銀座か日本橋といったところです。

    80年代、中国の改革開放が始まって間もないころ、私は北京で暮らしていました。

    当時珍しかった西側諸国の製品が数多く陳列されており、

    中国語の「大件(家庭用の高価で大型のあこがれの製品:

    冷蔵庫や洗濯機、テレビやステレオ、あるいはカメラや腕時計など、現在は死語)」

    が市民の憧れでした。

    その当時、西側先進国の製品は、現在とは違って街中にはほとんどなく、

    購入しようと思えば、窓口は友諠商店以外はないという状態だったのです。

    当時私はまだ中学生で、なぜか腕時計にあこがれており、

    友誼飯店で購入することが夢でもあったころです。

    この友誼商店は、その当時いくつかの外貨、もしくは外貨兌換人民元専用のデパートでした。

    しかも一般の中国人がこの店で商品を購入するには、パスポートが必要で、

    購入の際も、例えば腕時計をひとつ購入するとパス―ポートに「腕時計購入済み」

    という判子を押され、そのパスポートでは、2個目の腕時計を購入することができない

    仕組みになっており、パスポート所有者でもいつでも好きなだけ購入できるというもの

    ではなかったのです。

    この狭き門(?)を突破した者のみが、友諠商店で「大件」を購入することができ、

    その憧れと羨望の眼差しは、購入者の満足度をさらに高め、非購入者の

    願望は益々高まるといった具合だったのです。

    一時は北京っ子の憧れであった友誼商店も、時代の波にもまれ、その価値を失い、

    中国の経済的変化の大きさを実感する所以です。

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